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2017.01.25ビジネス
私たち社会人の生活の大部分を占める「労働」という時間。
できることなら「自分のやりたい仕事をしたい!」と常日頃から考えているものの、自分や家族の生活を考えると、どうしても「生活のための労働」をせざるを得ない、という方はきっと沢山いるはず。そんな労働者の悩みを解消し、ひいては社会の市場を活性化させるための試みが、北欧の国フィンランドで導入されることとなりました。
労働者問題の解決策としてはポピュラーな「ベーシックインカム」とは、
つまり、「就労の有無や所得に関わらず、国民であれば誰にでも最低限の生活を送るための所得を国が払ってくれる制度」ということですね。日本で既に導入されている「子ども手当」なども、広義としてはベーシックインカムの1つの形と言えるかもしれません。
ベーシックインカムを導入する主なメリットとしては、以下の内容が挙げられます。
同国社会保険庁(KELA)は、ベーシックインカムの試験導入中に受給者が経済損失を被ることは絶対ないと明言している。
制度に大賛成のヤルビネンさんは、一定収入が確保されれば状況は一変し得ると確信している。「5年前に事業が破綻してからずっと、もう一度起業したいと思ってきた」とAFPに語ったヤルビネンさん。雑用仕事を引き受ければ、わずかでも余計に現金が手に入るのにと心引かれることもあったが、稼いだ分失業保険の支給額が減らされるため、働く動機付けにはならなかった。
つまり、ベーシックインカムを導入することで、これまで生活のために仕方なく従事していた労働から解放され、自身のキャリアプランや意思を尊重した職業選択を行うことができる、と期待されているのです。
自分のやりたい仕事を、生活を心配することなく自由に探すことができる。ベーシックインカムの導入は、ワーキングプアに希望を与えてくれる施策ということは間違いありません。
これだけ素晴らしい制度なのに、日本では導入が実現していない。
その理由は、大きく分けて2つあります。
財源が捻出できないまず一番に思い浮かぶのはこの問題。
統計局によると、平成29年1月現在における日本の人口は1億2686万人ですから、1人8万円(都市部ではこれでも足りない!)を支給すると想定しても、
8万円 × 12ヶ月 × 1億2686万人 = 121兆7856億円
もの費用が1年間で必要なのです。子ども手当ですらカツカツの財政状態から、このための費用をどうやって捻出するかは大きな課題となっています。
「ベーシックインカム」の導入により、最低賃金制度や雇用制度の見直しが行われる可能性があります。
なぜなら、今までのようにあくせく働かずとも最低限の生活が送れてしまうためです。
最低賃金の例を挙げて説明すると、東京、大阪などの都市部と地方では最低賃金が地方によっては数百円単位で異なることもあります。
その理由としては、最低限の生活費が地方により異なるためです。
ベーシックインカムは国民に一定額を支払う制度なので、地域によっては最低生活費を上回る可能性があります。
その結果として、労働に対する需要は、最低限の生活費が高く、ベーシックインカムでは補うことが出来ない都市部ほど高く、地方に行くほど低くなる。
都市部では一定の労働需要がありながら、ベーシックインカムによる生活費の底上げが行われているので、安い賃金でも働くことができる。そこで最低賃金制度が撤廃されようものなら、企業が提示する賃金はどんどん下がっていく可能性も考えられますね。
ベーシックインカムの陰に隠れて、今以上の労働者の安売り市場が出来上がってしまう恐れもあるということです。
お伝えした以上にも様々な課題を抱えているベーシックインカム。日本での導入があるとしても、まだまだ遠い未来の話になりそうです。
しかし、ブラック企業やワーキングプアに始まる労働者問題を緩和する施策であることは確かかもしれません。
すべての人が、自分のやりたいことをして生きていける。そのような社会の実現のため、今回のフィンランドでの運用試験は後々世界に影響を及ぼす一手となるでしょう。
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