COLUMN
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2017.02.07テクノロジー
ゾウさんをアイコンにするくらいですから、もちろん動物が大好きな私ですが、
このニュースは全くのノーマークでした…
みなさんご存じだったでしょうか?
クローンといえば、昔からずっと議論されてきたことで、
医学的な技術において実現可能なのかはもちろんのこと、
クローンの人格はどうなるの?とか、倫理的観点から言っても、
ある種、不可侵領域的な扱いをされているような話でもあります。
そんなクローン。
人間ではないけれど、犬ではとっくに実用(という表現が正しいかはわかりませんが)されていたと聞いて、
私のように知らなかった方の為にも、ぜひ話題にしたいと思いました。
技術の進歩に倫理的な議論はつきもの。
みなさんもぜひ一緒に考えてみてください。
韓国のソウルにある「スアム生命工学研究院(Sooam Biotech Research Foundation)」。
その施設の中にあるフェンスに囲まれた芝生を駆け回る子犬たちはみな、1匹10万ドル(約1,000万円)の値がつく、クローン技術で誕生した犬。
スアム生命工学研究院は、永遠に愛犬と共に暮らしたいと願う人々の願いを叶えるべく、
過去10年の間、クローン技術によって完璧な「生まれ変わり」を提供するビジネスを行い商業的な成功を収めてきました。
同研究院には現在、は約60人の研究員が所属しており、自身の愛するペットを生き返らせてほしいとの願いを持った王族や富豪、また優秀な救助犬や麻薬探知犬の複製を求める国家機関など、「複製」の注文は日本を含めて世界中から届き、同研究院は2006年からこの10年間で800匹近いクローン犬を誕生させてきました。
1996年の歴史的な誕生以来、クローン技術の是非を問う論争の的となってきた、英国スコットランドのクローン羊「ドリー」。
同研究院も、哺乳類として世界で初めて「体細胞クローン」によって誕生したこのクローン羊と同じ「体細胞核移植」と呼ばれる技術を用いることで、クローン犬を生み出しているとのことです。
体細胞核移植では、代理母である犬の卵子からDNAを取り除き、そこに「再生」したい犬の皮膚などから取った体細胞核を入れ電気を流すことで、卵子に体細胞核の持つ遺伝情報にアクセスさせます。
そこからクローン胚が発生させ、代理母の子宮に着床しクローンを育てるそうです。
この研究院には常に懐疑の目が向けられています。
その理由は創設者である黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)氏の過去にあります。
黄博士は2004年と2005年に、被との胚性幹細胞(ES細胞)に関する2つの論文を、アメリカの科学雑誌「サイエンス」に発表しました。
韓国の国民的な英雄として称賛されたのもつかの間、2005年末には論文が捏造であったことが発覚し、翌2006年の3月には教授職を追われる身となりました。
さらには研究費の横領の疑いや、実験に使用する卵子の売買などの生命倫理法違反の疑いなど、刑事責任も問われることとなり、2014年に懲役1年6ヶ月(執行猶予2年)の有罪判決が確定しました。
論文捏造事件で大学の教授職を追われた黄博士は、2006年に同研究院を設立し、そしてこれまでに800匹以上のクローン犬を生み出してきたのでした。
そんな黄博士は、自身のクローンに関する研究に関してこのように述べています。
同研究院では、クローン牛など、クローン犬以外のプロジェクトも進行中のだそうです。
韓国では2000年頃から、口蹄疫がたびたび発生し、結果、大量の牛が殺処分されました。
それを受けて、スアム研究所は政府からの依頼により、優れた遺伝形質を持つ母牛を大量に複製する計画を進めており、それぞれの牝牛が成長して子牛を産めるようになったら、クローン牛から生まれた牛の肉が市場に出回るようになるようです。
黄氏は今後も、クローン牛に続いて、世界的に絶滅の危機に瀕しているエチオピアオオカミやリカオンなどの希少な動物をクローンによって救っていきたいとも語っているそうです。